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瑠璃が何度も玄武に話しかけお願いしても雅輝を解放する気配が無く、瑠璃と銀治は戸惑った。
「玄武ッ!!」
「…」
「何をしている。」
「「蒼!」」
瑠璃が両手を拳にして蔦のようなモノに叩き付け玄武を呼び項垂れ、銀治は自分の風でこれを壊してみようかと考えている時に龍也が現れた。
「巨大な気配がすると思って来てみれば、コレは何だ?」
何故中から雅輝の気配がするのかと龍也は瑠璃と銀治を質問攻めした。
それに対して瑠璃は泣きそうになりながら、この得体の知れないモノは玄武の仕業で結界だと思う事と、自分が玄武に話しかけ篤人は解放されたが雅輝を解放する気配が無くどうしたら良いのか分からないと話した。
「そうか。翠、玄武に顕現するように言ってみろ。」
「えっ!?」
「皆で説得してみよう。」
「「うん!」」
龍也の提案に2人は頷き、瑠璃は玄武に顕現するように大声で言ったが、玄武は何の反応も示さない。
それでも瑠璃は諦めずに蔦のようなモノに両手を付けて、自分の力をそれに注ぐ気持ちで玄武に伝わる様に念じながら話しかけた。
「ダメか…翠、ちょっと休んでもう一度試そう。」
「…うん、でもー」
「翠、玄武の意思みたいなのは感じるか?」
「え?意思…うーん、外敵から守る事以外は感じないけど…」
「外敵…俺達の事も外敵と認識しているって事か?」
自分が外敵扱いされた事に龍也にキレたらしく、ふざけるなと呟いたかと思えば蔦の絡み合った様なモノに片手を付けた。
「蒼?」
「えっ!?ちょっ…」
龍也の手が触れた瞬間、玄武の作り出したであろうモノは凍結粉砕し中から雅輝が現れた。
しかし地面から蔦が次から次えと生えてきて雅輝に絡み付こうとする。
龍也が舌打ちしウザイと呟いたかと思えば辺り一面を凍結させてしまった。
篤人と違い雅輝は衣類を着てはいたが、龍也は自分の上着でくるみ抱き抱えて連れて行った。
キレた龍也は瑠璃や銀治にはどうする事もできないので、だだ成り行きを見ているだけだった。
「はっ、あ、蒼待ってー!」
「あっ置いて行かないで!」
龍也が凍結させた場所はそのまま放置され、現れた魔物を龍也が退治したと生徒の噂話として出てくるようになった。
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