エピソードⅠ

83/99

1320人が本棚に入れています
本棚に追加
/130ページ
「何があった。」 「蒼、ゴメン。ちょっと落ち着く時間をくれ。」 「そだね、紅もミヤ君も考えを纏める時間が必要かも。」 「…では翠、玄武様に呼ばれたのだろ。内容は話せるか?」 「そうだった!」 雅輝以外の皆には朱里が何故苛立っているのか分からないが、雅輝が話し難そうにしている事と同じなのだろうと言うことは察していた。 そして朱里の苛立ちが収まるのと、雅輝の考えが纏まり話してくれるのを待つ事にして、瑠璃が玄武に呼ばれた理由を聞く事にした。 先程の出来事でスッカリ忘れていたが、瑠璃は皆に話さなければいけない重大な事があったのを龍也に言われて思い出した。 「えっと、僕、皆に謝らなくちゃいけないんだけど…―――」 母親から主は見付かっている事を見透かされ、瑠璃が占った鍵の篤人は瑠璃達にとっての鍵ではなく、よからぬ事を画策している輩にとってだと指摘され、篤人は主の一番近い所にいる人物だからそれを悟られるなとの警告が瑠璃の占いに出ていたのだが、それを解釈し間違えていた事を皆に伝えた。 「本当にごめんなさい!」 「そうか玄武様には隠し事はできないな。で、その裏で画策している輩には海老名の事はバレているのか?」 「うんん、バレてないみたいだけど、近日中に大きな変化があるみたい。」 その変化によって篤人や雅輝の存在がバレる恐れがあるかもと瑠璃が母親から聞いたことを伝え、「自分達は敵を知らなくてはいけない」と言ってチラリと朱里を見た。
/130ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1320人が本棚に入れています
本棚に追加