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気を失った雅輝を見ながら皆は固まっていた。
「皆、これで主様は誰かは確信したな。」
龍也のこの言葉に皆は頷くが、まだ放心状態で雅輝を見つめている。
今まで主の気配が一切しなかったのに、突然にその気に当てられたのだから仕方がないかと龍也は思うが、まだ話が纏まっていないから瑠璃の代わりに話を続けた。
「翠、敵は朱雀様とその側近なんだな。」
「あ、うーん。今のところはね。お母様の話では朱雀領に陰ってだけだったから…ハッキリは分からないけど、朱雀様と側近を裏から操ってるヤツがいそう。」
「確かに、その考えもありだよな。」
以前に食堂で見た側近の変化や朱里から聞いた話で、皆は薄々感じていた事を今回は確信して朱雀領の人物は警戒する事に決めた。
「そして紅、お前は主の朱雀だ。その事を胸に刻んで忘れるな。」
「ああ、分かってる。俺に指図を言えるのは主様であるミヤ君とその守護聖獣の蒼・翠・白だ。」
「僕も、もう疑わないよ。」
「オレも!」
「皆の意思が固まった所で、俺は皆に言わなければいけない事がある。」
雅輝を主と認め朱里も仲間だと気持ちを新たに確認して、皆の意識が守護聖獣としての覚悟と決意が固まったところに、龍也が今まで言わなかった事を話す決意をして、皆に自分は守護聖獣候補ではなく現守護聖獣青龍である事を打ち明けた。
「えっと産まれた時から青龍だったの?」
「そうだ。青龍も主同様に転生による継承だ。」
「へぇー初めて聞いた。」
「今まで青龍の極一部の身内しか知らされていない事だったからな。」
「それって僕達に話して良かったの?」
「仲間に秘密は作りたくないからな。」
「………」
秘密を作りたくないと言う龍也に瑠璃と銀治は笑顔で頷き、朱里は何か考える様に俯いた。
「…あ「あーそうだ!ミヤ君から何でいきなり主様の気が溢れたんだろ?」」
朱里が何かを決心して話し出そうとしたのと同時に瑠璃が疑問を口に出し、朱里はタイミングを逃して自分が話そうとした事を話すのをやめた。
それに気が付かずに皆は話を進めている。
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