エピソードⅠ

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篤人に何があったか知らない龍也達は篤人が先に帰った事に興味は無かった。 事情を知っている朱里だけが篤人を心配しているようだが、雅輝の側から離れるつもりはないようだ。 「さ、主殿。朱雀を…」 「キミの名前を考えなくちゃねー」 「あ、主殿!儂に名前など…」 「必要だな。」 「うん、必要だよ。」 「だね。」 「どんな名前にするの?」 「え?オイ!何故じや!」 龍也は使い魔に話があると雅輝の腕の中でジタバタする使い魔を持ち上げ、雅輝達から離れて話しだした。 それを雅輝は不思議そうに見ていたが、瑠璃にどんな名前を付けるのかを聞かれ、名前について考え始めた。 「んー…そうだなー、ハク、にしようかな?」 「ハク?」 「うん。何か白様に雰囲気が似ている気がするから。」 「そっかーうん、良いよー!」 「いいんじゃない。」 「うん、良いと思う!」 名前が決まったところで、朱里が使い魔をもう一度作ってみようと言い出し、それに瑠璃と銀治も目を輝かせて賛同した。 今まで何もできなく落ちこぼれだった自分のできることを見付けた雅輝は、朱里達に言われるままに使い魔を作る魔法を唱えた。 「あれ?できないよ?」 「んーさっきと同じように考えてもダメなのかも。」 「あぁそっかーそーだね。」 「さっきのと同じじゃダメなの?」 「ダメじゃないけど、ちょっと違うって言うか…」 先程白いフサフサが出現したやり方ではもう一度使い魔を作ることができないと言うことに、やっと自分にもできることが見つかったと喜んでいた雅輝はガックリと項垂れた。 その落ち込み様に慌て瑠璃はフォローを入れる。 「さっきは、前に能力測定で助けてくれたモノを思ってたんでしよ?」 「うん、あんまり覚えてなかったけど…」 「じゃあ次は、この前に助けくれたモノを思って見たら?」 「それは表れぬよ。」 瑠璃のフォローを龍也との話が終わって戻ってきたハクが否定した。 「表れないってどーして?」 「あの時も顕現しなかったじゃろ。実体化できるモノと出来ないモノがあるのじゃよ。」 「「「「「へぇー」」」」」 ハクの説明に皆がそうなのかと何となく納得した。
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