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「せっかく作った使い魔が実体化しなかったら寂しいねー。」
「使い魔は実体化する。」
「へ?…え?でも…」
さっき実体化しないモノもあるってハクが言わなかったか?と雅輝が困惑した顔で龍也とハクを交互に見ると朱里達は苦笑した顔で説明しはじめた。
「えっとー、ハクは一応は使い魔扱いになるんだけど、使い魔じゃないんだよ。」
「ええっ!!?」
「使い魔とは格が違うのじゃよ。」
「そうそう、ハクは別格すぎて使い魔って言えないもんねー。」
「あれ?でも、文献では全て形を与えられたのでは?」
「うむ、そのとおりじゃが、今の主殿の力ではなー…」
使い魔にもランクがある事と、ハクは使い魔の中でも別格の存在なのだと説明された雅輝は一つ一つの説明に納得した様になるほどと頷いた。
「あ、ハク以外で今のミヤ君の能力値で実体化できる方はいますか?」
「だから、先程からす…あー…あ、あぁあれじゃ、紅き炎!ヤツだと言っておるじゃろ。」
「紅き炎?」
「儂がそやつの気配とイメージを送るから、主殿はその気配を呼べばヤツは来るじゃろ。」
ハクは見た目は猫の様に小さく可愛らしいが、その気はかなり大きい。
そして発言の節々から白虎だと雅輝以外は確信していたが、ハクにはまだその事実を伏せておくようにと龍也が釘を刺したから、先程まで朱雀と言っていた言葉を違う言い方に言い直した。
ハクに手伝うと言われ、雅輝はもう一度使い魔を作ってみることにした。
「主殿はこの気配は感じた事はありますかな?」
「んー…紅様?ちょっと違うかな?」
「そうですか、では主殿、もっと意識を集中して今感じている気配をお呼び下され。」
ハクに言われる通りに意識を集中させ、朱里に似た気配をより感じようと目を閉じた。
それを暫く続け雅輝の額に汗が浮かび、その汗が頬を伝って顎から落ちる頃には雅輝から気が溢れ出した。
「………紅き炎…我の美しき鳥よ…我の呼びに応え此処に来よ。」
息を吐き出し開けた雅輝の瞳は黄金と表現したくなる程に輝く琥珀色。
紡がれた言葉に応えた炎が雅輝の周りに生じ、その炎は何かの形を形成してゆき、やがてその形は鳥と言えるモノになった。
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