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「あ、口で息するのも無しですよ」
菊本は一瞬、首を絞める縄がきつくなったのに気づき鼻で息をするが、直ぐに息を止めてしまう。
少しずつ首を絞められていき、頭がぼんやりとなっていくのが分かった。
「根性ないですね。ま、しょうがない」
バッシュを離し、首の縄も緩める。途端、菊本は盛大に息を吸い込む。
「さっきと同じ事しかやってないじゃないですか。いつもの先生はどうしたんですか?」
「ハァッ……ハァッ……」
菊本は、軽く意識を飛ばしながら呼吸をするばかり。
スッと黄泉は表情を消すと、次はバッシュを脱いだ方の足を鼻に押し付けた。
「何とかいいなさいよ。どう?汗で蒸れた靴下の臭いは」
グリグリと、足に力を入れ踏み付ける。
「フッ………フグッ」
「ほら、ちゃんと指の間も臭いなさいよ」
黄泉は同時に、菊本の口を踵の方で塞ぐ。
必然的に、鼻で息をすることしかできない菊本は、震えながら酸素を取り込むしかなかった。
「そうそう、最初からそうしてれば良かったんですよ」
そう言いながら、足を前に体重をかけていく。
俯せになっている菊本は当然、首をのけ反る状態になる。
その状態で、更に首の縄がキリキリと締め上げてきた。
黄泉はそれを楽しむように、クスクスと笑いながら体重をかけていった。
「…………ッ」
「先生解ります?手、痙攣し始めてますよ?」
最早声も出せないまま、菊本は黄泉の言葉をボンヤリと聞いていた。
「あぁ、死んじゃったか。根性ないなぁ」
既に事切れた者から足を退け、縄も解いた。
「にしても……本当に臭いな~。靴下なんか蒸れて濡れちゃってるし」
クンクンと自分の服やバッシュを匂ってみる。
「明日も練習あるし、さっさと帰って洗濯しないとな
じゃ、先生。さようなら」
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