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探偵「お集まり頂きありがとうございます。皆さんに集まって頂いた理由は他でもない。…この事件の犯人がわかったんです」
A「一体誰なんですか、その犯人は!」
B「適当ぬかしたら承知しねえぞ!」
美和子「名探偵気取りもいい加減にしてちょうだい!今もこの中で私の夫を殺した殺人鬼がまた人を殺そうとしてるかもしれないのよ!」
探偵「まあまあ、落ち着いて。犯人はそんなことしませんよ」
D「どういうことだ!?」
探偵「もう犯人の目的は全て達成されたんですから。ねえ、美和子さん」
C「!?」
美和子「…オホホホホ、私が犯人ですって?一体何を証拠に…」
探偵「この小説の14ページの三行目を思い出して頂きたい。そこにはこう記されていました。『美和子はかつて夫を愛していた』そして169ページ六行目の私の台詞『ここにきてからはいつも美和子さんが台所に立っている』という記述。更に凶器は包丁ときた」
C「!!」
美和子「包丁なんて、誰でも他人の目を盗んでとれるじゃない!」
探偵「証拠はこれだけじゃないんです。…美和子さん、何故貴女だけが固有名詞なんですか?」
C「!!!!」
美和子「…それは!」
探偵「それこそが、貴女が犯人である証拠です。物語のメインをつとめる者として作者が名前をつけた、そしてミステリーとしての難解さを避けるため、作者は貴女以外の人間に探偵だとかアルファベットで単純明快な名前をつけたんです。これが動かぬ証拠です」
A「かませ犬かよ俺ら」
B「作者、能無しだな」
D「疑われずに済んだけどな」
C「…?」
美和子「…負けたわ」
探偵「結局は、小説ですからね」
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