会話のみの場合のそのバイタリティについての考察

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「なあなあ」 「何?」 「漫才ってあるだろ」 「あるな」 「最近、あれおかしいよな」 「何が?」 「基本、会話らしいじゃんか漫才って」 「そうだな」 「最近のは全然違うよな」 「どこが?」 「例えば、男二人で話して恋愛の話になってじゃあ告白の練習したいからお前女の子役やってくれ、っていうの見るけどさ、普通の会話にしては不自然過ぎるだろ」 「まあ確かに普通はしないよな」 「しまいには人以外の役やってくれみたいな」 「人なのにな」 「もちろんこれ以外のやり方で漫才してかつ会話として成立してるのはあるんだけど、なんか今の風潮はおかしいよなあって」 「それを俺らが言っても仕方ないけどな」 「それはそうだけど…でもやっぱおかしいよな。俺犬好きやからお前犬やってくれって言って、お前犬なれる?」 「ワン」 「え?」 「ワンワン」 「…嘘だろ」 「ワンワンワン」 「コーギー犬になった…」 「ハフッ」 「本当は犬になんかなって欲しくないって!戻ってくれよ!」 「…こんにちワン」 「よしちょっと戻ってきた!この調子で」 「さよなライオン」 「あかん遠くなった」 「いってきまスカンク」 「くさっ」 「くそやろうさぎ」 「聞いたことないやつなった」 「…ううっ」 「でも徐々に人の姿に戻ってる…!」 「…おお、ごめん。本当に犬になってたわ」 「いやあ、ビックリした」 「そういや漫才してる奴らは人間だけど、俺ら文字だもんな」 「そうだよな」 「だから俺も犬になれるんだな」
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