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初めての本格的な人物画とあって、僕はいやが上にも張り切っていた。まだ下絵の段階だが、キャンバスに描かれた少女の肖像は、自分でも悪くない出来映えのつもりだった。
当然、モデルになった希も喜んでくれるものと思っていたのだが――。
「これ……あたし?」
キャンバスを覗き込んだ希は、唇をちょっと尖らせて黙り込んでいたが、やがて荷物をまとめてさっさと部屋から出ていってしまったのだ。
口には出さずとも、彼女がこの絵に良い印象を持たなかったことは間違いない。
正直、ショックだった。
やはり自分には才能がないのか――ひどく落ち込んだ僕は、美術展への参加を見合わせようかとさえ思い始めていた。
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