291人が本棚に入れています
本棚に追加
榊原勇司は絶体絶命の危機に迫っていた。
「……水道が止まった」
未払いの家賃三ヶ月分のつけが回ってきたのだろうか、蛇口を全開に捻っても一滴も水は出てこなかった。
(このままじゃ、ガスも電気も止まるのは時間の問題だな)
今月のバイト代はいつ入って来るっけなぁと、床に転がって呟くと、埃が舞い上がり咳き込んだ。
両親が交通事故であの世に行っちしまってから約半年。
元々裕福では無かった状況に独りと来ては正直きついものがあった。
「もう高校辞めるしかねぇかな」
無理を言って行かせてもらった高校であるし、出来るなら卒業はしたい。
でも今の状況じゃ学校どころか生活もギリギリだ。
どうするかなと溜め息をつきごろりと寝返りをしてるうちに意識は薄れていった…。
.
最初のコメントを投稿しよう!