楓 -カエデ-

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おばあ様が亡くなってしばらくして私は大学を卒業した。 おばあ様を亡くしてから、何もやる気がおこらず、何かをしなければと思えば思うほど、何もしない自分が情けななかった。 それから何もせず、おばあ様の1周忌を迎え礼服を着ていると、ポケットに紙が入っているのに気がついた。 それを開けると、 『吉原 椿 住所……』 と書いてあった。 おばあ様が最期に私に託した、お母さんの名前と住所だった。椿と楓、なんだかお揃いみたいでうれしかった。 私は、無性にお母さんに会ってみたくなった。 ただ単純に、自分の母親がどういう人なのか知りたいという気持ちと、お母さんなら、私のこのどうしようもない状況をなんとかしてくれるだろうという期待があった。
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