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お父さんが出張した翌日の夜中に計画を実行することにした。
住所からして、夜のお店が多い所だった。だから夜12時お手伝いさんも柴田も寝静まった頃、コッソリ家を抜け出しタクシーを捕まえた。
こんなに夜遅く出歩くのも、一人でタクシーを乗るのも初めてでとても緊張した。
それと同時に、おばあ様が言った通り、お母さんは私をすぐに受け入れてくれるかすごく心配だった。
タクシーをおりると、少し中の細い道を入った所にお店はあった。
『スナック 楓』
店の看板を見た瞬間涙が込み上げてきた。
「私の名前…」
すぐにお店に駆け込んで、「お母さん、楓だよ。会いたかったよ」ってお母さんを抱きしめたかった。
だけど、ありがたい事に、こんなご時世なのに店は流行っていてお客さんの出入りが激しいかったから、迷惑にならないよう、店の脇を通る細い路地の一目につかない所で、お店か、終るのを待つことにした。
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