楓 -カエデ-

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11月にしては、そんなに寒くない夜だった。念のため厚着をしてきたのが正解だったのか、あまり夜更かしんしたことのない私は、ウトウトしてしまった。 どのくらい時間が経ったか、誰かの声と足音が聞こえた。 私は、目を覚ますと同時に反射的に立ち上がって一歩踏み出した瞬間、横にあった高いビール瓶の箱が倒れてきた。 「キャー」 叫んだ瞬間もう私はビール瓶の破片や箱の下敷きになっていた。 頭を打ったのか、朦朧とするなか、私の上に乗っていたビール瓶の箱が一つ退けられた。 あっ助けてもらえるんだ 安心した時 横から声がした 何か「逃げるぞ」と聞こえた気がした。 えっ、どうして?どうして逃げるの?助けてよ 一生懸命目を開いた、そこには真っ赤に染められた世界が広がっていた。 その中に男の人が何人かぼやけて見えた。その中の一人と目が合った気がした。 そこで私は意識を失った。
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