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「ありがとうジェジュン!」
「いいって」
柚季は前から欲しかったという小説をジェジュンにプレゼントされスキップで夜道を進む。
「あたしね」
「なに?」
「小説って、読めないの」
「へ?でも、欲しいって言ってたよね?」
「正確に言えば、一冊読むのに最低でも半年掛かっちゃうの」
「半年?それ、文庫だよ」
「うん、文庫でも。だから、よっぽど好きな作家さんのじゃないと買わないの。飽きちゃうから」
「…そうなんだ」
「うん。この作家さんね、短編が多くってあたし向きなんだよね(笑)」
まったく、こうゆうところは柚
季らしいと思うジェジュン。
カバーの掛かった文庫本をペラペラとしながら軽やかにステップを踏む姿を見てたら、なんだか楽しくなってきた。
ジェジュンは軽く早足で近づいて柚季の肩を抱いた。
「ん?」
「駄目?」
「んー本が見ずらい」
「(笑)ごめん」
手を離そうとするジェジュンの動きに柚季は本をかばんに押し込んで手を繋いだ。
「いいの?本」
「どうせ、今見ても忘れるもん」
「そうだったね」
「あたしね、いつも新鮮なんだと思うんだよね。頭のなか空っぽ。」
「空っぽって、ちゃんと覚えてる事だってあるでしょ?」
「それもそうなんだけど、大事な事ほど忘れてて…それっていいことなのか時々ねわかんなくなる。でも」
「でも?」
「今は、ジェジュンが毎日あたしのことメールで褒めてくれてそれ何回も繰り返し読み返してさ、空っぽでもいいのかなって思ってるんだよね。ユチョンが好きなあたしが好きって気持ちのままジェジュンの事好きになるってことはあたしの頭の中に隙間がいっぱいあるからだろうなぁとか思ったりする」
「なんだか、哲学的だね」
「はは、それユチョンにもよく言われる。柚季は時々哲学者だって(笑)」
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