留まり続ける記憶

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 夏休みに入って一週間が過ぎたある日、貴史は公園でAと待ち合わせをした。お昼ご飯を食べてすぐ家を飛び出し、息を弾ませながら通いなれた公園まで走る。突き抜けるような青空から降り注ぐ日差しはとても暑かった。  Aは少しおとなしめの女の子だった。貴史はいつからか彼女と仲良くなり、小学校の帰り道でよく一緒に遊んだ。三年生になると彼女との仲をたびたび同級生にからかわれるようになり、まるで気にしない貴史に対し、Aはなぜか悲しそうな顔をするのだった。
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