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誰にも会わずに三階まで階段を登り、部屋の前までたどりつく。
そこでようやく、自分の置かれた状況に、血の気が引いた。
「あ、あの、中に入る…んだよ、ね…」
「当たり前だろ」
有無を言わせぬ言い切り口調で返され、しぶしぶ鍵を開けようとした。
その時。
隣の部屋のドアノブがガチャリと音を立て、人の気配がした。
「わ、早く入れよ!早くって!!」
「う、わわ、待って散らかってるから待って!!」
「アホか!!どうでもいいわ!」
背中をギュウギュウ押され、後ろから抱きかかえられるように玄関になだれ込む。
2人して玄関に倒れた。
バタン。
扉が閉まったときに、隣人の歩く気配がして、間一髪だったことを知る。
「あっぶねーヤベー…マネージャーにしばかれるとこだよ…」
「ちょっ…ど、どいて…」
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