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ヤツがシャワーを浴びる音を聞きながら、キッチンで冷たい水をゴクゴク飲む。
「ぷ、はあ…」
一息ついて、さてどうするか、なんとなく部屋を見渡して愕然とした。
……うう…女の子の部屋とは思えない散らかりよう…。
別に、今日限りで二度と会わないヤツに見栄を張るつもりはないが、
くやしいけど人気俳優というだけある整った顔の若い男に、こんなグチャグチャな部屋を見られて平気な訳でもない。
「ま、いいや。ほんとにもう会わないし死ぬ訳じゃないし」
そう開き直ったら、気が楽になった。
気が緩んだついでに冷蔵庫からビールを出す。
飲めないけれど、飲みたい気分には、なる。
そういうときに、一口だけ飲めるようにビールは常備していた。
プシュッとプルタブを引き上げ、一口飲もうとしたところで、
後ろから伸びてきた手にヒョイと缶を取り上げられた。
「!!?」
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