冷たくすんなよ。

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パッと振り返れば、そこにはゴクゴクと喉を鳴らしてビールを飲む、佐々木拓海の姿があった。 「ちょっと…!!」 プハーッと息をついて口元を拭っている何とも厚かましい男に、言葉が続かない。 「飲めるんじゃん、香織ちゃん」 「なっ!?なんで名前!!?」 あたふた言葉をどもらせている私の目の前に、一枚の紙切れを突き出す。 ……? 「なによ?」 よーく見れば、これは先週行った健康診断の結果がプリントされた紙切れ。 「わあっ!!」 とっさに取り返そうと手を伸ばしたが、佐々木拓海は背の高いのをいいことに、私が絶対届かない高さまで腕をあげている。 「戸川香織 22歳 O型…へえ、O型なんだ?…んっとそれから…あ、体重47キロ、身長156センチ。上から83 58 98 うわっ、超スタイルいいじゃん。それと………あー」 私はなんとかジャンプをして紙切れを掴み取った。
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