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紙切れを握りつぶして、キッとヤツを睨みつける。
「こっわ。
笑ってよ。ずっと怖い顔してるじゃん」
「無理です」
「あ、そうだ。
ここの詳しい住所教えて?」
「やだ」
ムスッとして答えた私を見て、仕方がないなーという呆れた表情を作った。
「ねえ。オレさ、今かなり人気急上昇中の佐々木拓海だよ?…まさかマジで知らなかったとか、言わないよな?」
壁にもたれて、髪をガシャガシャ拭いている姿が色っぽくて、視線が定まらない。
「知らなかった」
「テレビ見ないの?」
「あまり見ない…。だから知らないし、今も完全には信じてないから、
有名人だってのを武器にされても、私には意味ない!」
必死に声を張り上げたから、後半かすれた情けない声になってしまった。
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