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気持ちを切り替えて、歩き出す。
「だめじゃん勝手に帰っちゃ」
突然、耳元で低い声が響いた。
ドキーンと心臓が飛び上がった。
慌ててその声の主を見る。
「オレも抜けよっと」
……マジで………?
キャップを被って黒縁の伊達めがねをつけた男が鼻歌を歌いながら、笑っている。
「な、なによ?カラオケ行かないの?」
「行かなーい。君が帰るならオレも帰る」
「あっあたし!本屋に行くからまだ帰んないし!」
「ふーん。じゃあついていく」
「なんで!?」
「ホラホラ真ん中で立ち話は邪魔になるよ」
背中を押されて、歩き出す。
……なに!?なに!?
男の顔を見ると、楽しそうに目をキョロキョロさせて周りを見回している。
「……このあたり、来ないの?」
ふと尋ねると、男はあっさり「うん来ない」と頷いた。
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