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「え…あ…これ……ってあんた!?」
思わず声が大きくなり、佐々木拓海は慌てたように私の口を大きな手で押さえる。
「シィ~!バレるだろ!」
人差し指で黙れのジェスチャーをすると、辺りをそっとうかがう。
そうすると、どうだろう。
そこらにいる女子高生が男を見て、ザワザワしだしたじゃないか!
「ちっ…バレただろうが…悪いけど、本屋はまた今度な」
佐々木拓海は早口でそう言うと、私の肩を抱いて出口へ急ぐ。
「なっ!私は関係ないっ…なに!?」
もつれるように足を動かして道へ出ると、すぐにタクシーを捕まえた。
ゆっくりドアが開くのももどかしく、佐々木拓海は私を座席に引っ張り込んだ。
「キャッ!?」
無理な態勢で倒れ込んだため2人の頭はガツンと音を立ててぶつかる。
「ごめん。…運転手さん、とりあえず出して下さい」
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