進路と花火と。

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「希望を書いて、そのまま上手く行ってくれたら良いんだけどなぁ」 「それは希望調査じゃなくて、決定調査だ」 「うまいこと言うね」 「うまくねぇよ」 もちろん、僕も光の意見に大賛成だ。 でも、僕は。 「年明は?」 「何?」 「進路。やりたい事あるって言ったじゃん。…お前、頭いいもんな。いっそ総理大臣とか書いてくれよ。そうすれば俺がボケやすくなる」 「なんだそりゃ」 僕の両親は2人とも弁護士だが、2人とも「好きな事をやりなさい」と僕に言ってくれた。 しかし、それはとても喜び難い物だったのだ。物分かりの良い両親だけに僕は反抗もせず、無意識のまま上手くコントロールされていたに過ぎなかった。 宿題で解けない問題があれば両親に聞けばいいし、両親は楽しそうに問題を解くから勉強は楽しいと幼い頃から刷り込まれていた。 策士か!石田三成か!諸葛亮孔明か!と思っても、もう遅い。気付けば、僕は勉強するのに最適な空間にいたのだ。  
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