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更には世間の目という物に気づかない程、僕もバカじゃなかった。
教師も近所のオバサンも近くの酒屋のオッサンでさえ、僕が弁護士になると決め付けていたのだ。
その時の僕は淡く描いていた自分の夢を否定されるのも、友人に笑われるのも、夢を失敗することも怖かった。
だから、言わなかった。
言えなかった。
その時から何だか夢を見る事がいけないような気がするんだ。「弁護士か、ブランド力のある企業に入って一流の人間になる。」くらいの夢を言って、両親を喜ばせた記憶がある。
それくらいでないと、夢と認めてもらえないと思っていたからだ。
…全く今は夢にも気を遣う時代かよ。
お陰で、僕は光の速さで自分の夢を封じ込める事に成功した。とてもじゃないが、今の僕は「I have a dream」なんて演説出来ない。
偉人は、やはり偉業を成しての偉人だ。
「んー。俺は普通に進学だな。法学部」
「へぇ、ふーん」
「聴いといて興味ねぇのかよ」
「ねぇよ。予想通り過ぎてつまんねぇ」
何だコイツ。
小学生の時に「人の話は誠意を持って聞きましょう!」と美人で評判の花村先生が言っていただろう、と文句を言おうと口を開いた瞬間。
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