出会い

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知らない男の声… 「ここって…悪魔がいる病室だよな」 「悪魔?突然暴れる女がいるんだろ?」 「だからみんな悪魔って呼んでんだよ」 「暴れて看護師が怪我したらしいぜ」 「まじかよ、こえー」 私は今こんな会話を聞きながらベッドに座って右腕を押さえていた。 右腕はいうことを聞かず すでに置き時計を握りしめていた。 我慢できずにその時計を思い切り扉にむかって投げつけた。 すると 「ふぁっ!?びっくりしたぁ…」 というさっきの会話をしていた男とは違う若い男の声が聞こえた。 そして扉が開いた。 「あ!冨山さんっ!」 「はい?」 ポタッポタッ 冨山と呼ばれた男の腕から 赤い水滴が流れた。 「っく…いったぁ…」 私は投げてしまった。 硝子の破片を。 いつか忘れたが 私がまた暴れて そのときに割ったと思う。 看護師さんは掃除してくれなかった。 部屋に入ってすら来ない。 だから地面にたくさん硝子の破片が落ちている。 「大丈夫ですか!?」 「あはは、平気ですよ」 冨山という男は腕をおさえながら 笑顔で立ち上がった。 「手当てします!こちらに!」 「あぁ、ありがとうございます」 と私の部屋から出ていった。 ―寂しい… また嫌われたかな やだなやだな 死にたい 死にたい 硝子の破片を見つめて 『死にたいな』
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