3人が本棚に入れています
本棚に追加
我にかえった僕は慌てた。
「いやっ…あの…覗きとかじゃなくてっ…えっと……」
彼女が近付いてきたので
僕は
「ご、ごめんなさいっ…」
と謝った。そして彼女の手が動いたので
―あっ、叩かれるっ…
そう思い、目を瞑った。
―あれ…?何もしてこない…
僕は静かに目を開けて
顔を上げると
「大…大丈夫…ですか…?」
と手を差しのべる天使がいた。
「へ?いや…あの…大丈夫…」
そう呟いて
差しのべられた手を
掴んで立ち上がった。
手を離そうとすると
彼女はグッと力をいれて
離してくれなかった。
「え…あ、あの」
というと彼女は
「痛そう…」
「え?」
僕は何のことやら
さっぱりわからなかった。
すると彼女は
腕を指差した。
先ほど彼女につけられた傷だ。
「あぁ…これ…」
「何をしたんですか?」
「え…?」
―記憶がない…?記憶喪失ってそういうこと…?
「ちょっとね…」
僕はハハッと笑いながらいった。すると彼女は
「そうなんですか…」
と俯いたので
「心配しないで!大丈夫だから」
と笑顔を見せた。
でも彼女は
困ったような顔をした。
―え、僕なんかしたかな…
「あの…どういう顔でなんて言えばいいのかわからない…です…」
「なにも言わなくていいよ?」
「でも……」
「無理に言葉を探さなくていいよ」
最初のコメントを投稿しよう!