‐エゴイストの枯れ葉‐

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カラカラの枯れ葉は 私なのです。 それなのに私ときたら… 嗚呼情けない。 悔しいなんて言葉で 私は私を踏み付けたのです。 なんて、嫌な人間でしょう。 本当に嫌な人間です。 アハハと 私は笑いました。 誰も聞いてはいないようです。 私はアハハハハハと とても大きな声で笑いました。 誰も聞いてはいないようです。 私は、 また歩きだしました。 ぽたり、ぽたり…。 しずくが滴る音が聞こえます。 ぽた、ぽた、ぽた。 滴る音が聞こえます。 それはそうでしょうとも。 私の腕から手へ、 そして コンクリートの地べたへと、 ぽた、ぽた、ぽたり、 私の赤いしずくたちが ぽた、ぽた、 流れて出ているのだから…。 けれども、 誰も声をかけることは いたしません。 誰も私を見ようとは いたしません。 誰も見えないので ございます。 滴る赤いしずくさえ、 誰にも見えてないのです。 誰にも見えていないので…。 誰か、 誰かに 見て欲しいのでございます。 誰か…。
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