‐エゴイストの枯れ葉‐

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「気づいてないのは お前じゃないか…。」 ふと、声が聞こえて、 私は後ろを振り向きました。 すると、そこにいるのは… 茶色の癖のある髪 せんの細い顎に、切れ長の瞳。 背中を向けてるその人は その瞳から 大粒のしずくを滴らせ、 とても美しく 泣いておりました。 私は思わず見とれてしまい、 そしてはたと気づきました。 私はこの人を知っています。 先程から居たのでしょうか? なんで私は 気付かなかったのでしょうか。 あの人は 私の愛しい愛しい恋人では ございませんか…。 なんで 私は気付かなかったのでしょう。 なんで あの人は気付いてくれないのでしょう。 なんで…。 私はただ、 その人を見つめておりました。 その人はただうなだれ、 涙を流しておりました。 どうして 泣いているのですか? どうして うなだれているのですか? どうして 私は気付かなかったのですか? どうして 私に気付かないのですか? どうして…? 「気付いてないのは、 お前だろう?」
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