雨のサーキット

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スタートからの1コーナーで1台のSC430にかわされてしまった俺は、順位を取り戻そうと必死にプッシュした。 しかし、予想外にタイヤのマッチが悪く思うようにタイムが伸びなかった。 俺はとにかくこのペースで走ってポジションをキープすることに切り換えて走行した。7周目に、後ろのマシンとの差が気になった俺はピットに無線で聞いた。なにせ真っ白で後ろが全く見えないのだ。 「後ろはどこが来てるの?」 ピットから帰ってきた答えは、俺を焦らせた。 「23号車 XANAVI Z」 23号車?スタートした時に俺の4台後ろだったのに?俺はピットとの交信を続けた。 「ベストラップの差は?」 「+1.2秒」 俺は完全にパニックだった。相手はこれ以上のタイムは出せないくらいにプッシュしてる俺より、更に1秒以上も早いペースで走っているのだから。 俺は自分を落ち着け、となだめてから後ろを確認するモニターを見た。 いつのまにか、俺の背後には赤いフェアレディZが迫っていた。
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