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「よっぽど喉が渇いてたみたいだね?
空港から真っすぐに学園に来たの?」
優しく微笑みかけて もう一杯アイスミルクティを注いで俺にそう聞いてきたのは
俺の叔父、理事長の 倉沢 十夜(クラサワ トウヤ)
「…うん。…疲れた」
二杯目のアイスミルクティを味わいながら答える。
「連絡くれたら迎えに行ったのに…」
「…いい。…歩きたかったから」
「そう。…
とにかく、長旅お疲れ様。
それと、ようこそ
我が白鳳学園に」
ニッコリと極上の笑みで俺を迎えてくれた。
「…あ~…うん」
「なに?那由。
何か不満でも?」
と、眉を下げ上目使いで見てきた。
「…何で今更 高校生…しなきゃならないの?
…俺、…アメリカの大学卒業した…ばかりだよ?」
そう。
数ヶ月前 大学を飛び級で卒業した俺は何故 日本の高校に通わないといけないのか訳がわからない。
てっきり、卒業後は親父の会社を手伝うものと思っていたのに、親父から「日本の十夜の学園に行ってこい」
と言われ、15時間後、ここに居る。
「…何も聞いてないのか?百夜から?」
百夜(ビャクヤ)ってのは俺の親父の名前。
十夜さんは双子の兄になる。
「…うん。…聞いてない」
「…那由も言葉数が少ないが それは百夜もだったか…」
…親父と一緒?いやいや…
俺は人と話す事が苦手なだけで 自分の中じゃいろいろ思う事や考える事がある。
親父は あまり考えてなさそうだ。行き当たりばったりで…
心の中でそう思っていると
「百夜もいろいろ那由の事を考えてくれているぞ。
今回の事も同年代と関わりのなかったお前の為に考えた事だろう。
それに、今まで勉強や会社経営やマナーなど学ぶばかりで お前の自由がなかったから この3年間は那由の好きに過ごせ。って事じゃないかな?」
俺はその言葉にびっくりした。
え?親父が俺の事 考えてくれている?
でも、今まで大人達に囲まれて育ってきたのに 同年代…
嫌な記憶が蘇る。
しかも日本。
自由は嬉しいが半分は微妙な感じ。
素直に喜べない自分がいた。
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