それぞれの6月7日 夜10時

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~アミナ・シエンの場合~  あちこちが、壊れていて教会として機能していない室内で唯一無傷のステンドグラスをボクは見上げていた。    淡い月光を教会内に差し込ませながら、ステンドグラスの聖母は慈悲深い瞳でボクを見つめていた。    彼女がここに実在したらこんなボクでも手を差し伸べてくれたのだろうか?それとも、ボクのような存在のものは助けてくれないのだろうか?    幻想的な光景を見ながら、ボクはつくづく、ここは今のボクには不釣合いな場所だと認識させられる。    この昼の世界に嫌われ、闇を生きる僕には。    正直、この街に来てしまった理由はボクにも分からない。    ひたすらに死に場所を求めていたら、ここに来ていた。    ここなら助かる気がした。助けてくれる気がした。    ボクを助ける物好きな人間なんて居る筈もないのに。    ボクは望んではならないのだ、救済など。    でも、その辺はこんな体になっても消えない人間の業なんだろうか?    なら、それで良いか。    ボクの最後の人間らしさが連れて来たこの場所で眠るのも悪くは無い。    ただ、あいつらにやられてやる気は全く無い。    探さなくては、誰かボクを殺してくれる人を……    そんな人物は簡単に見つかるだろう。    この世界の大半の人間がそうなんだから。    自分以外の異形たる存在を認めない。ボクもそうだった。    今からは……流石に無理か。    ここ最近はまったくアレを飲んでいないし、ここまで走ってきたから体力も無い。    今日は早く寝よう。    そして、明日探す。    ボクの存在を消してくれる人を……
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