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「ダメよ優菜。おばあちゃんの遺産はこんなもんじゃないのよ。
この洋館を相続するのが条件で、他のマンションや土地も相続できるのよ。
勿論それらは、おばあちゃんの息子であるパパの物になるんだけどね。
……あんた全く聞いてなかったのね」
心なしか
ママの顔が何となく怖くなってる。
正直
こんな必死な形相はほとんど見たことない。
これは、やっぱりこの家のローン二十年が原因なのかも。
この不景気の何が起こるかわからない時代、
財産収入が手に入るなら是非ともというママの気持ちは分からないでもない。
頭では理解できる反面、
気持ち的には正直ついていかない。
だがここで断ってしまえば、
榊家での自分の立場は無くなるように思えた。
「…う………わかった。住んでみる……」
仕方ない
家族の為だ。
そう心の中で自分に言い聞かせ
優菜は渋々頷いた。
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