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「…おいしい! これ全部レオが作ったの? すごい」
温かいスープを一口飲んで、
優菜は目を輝かせた。
目の前に並べられた洋風の料理は、どれも美味しい。
そんな優菜の様子を見ながら、レオは穏やかに微笑む。
「その辺にあるものを使って作っただけだよ。
優菜、褒めすぎ」
「ううん。ホントに美味しいのよ。正直、私は料理苦手だからレオが羨ましいわ」
レオは意外そうに優菜を見る。
「そうなの?」
「うん。和食なら結構作れるけど、洋食はなんか難しくて…」
「…今度作って、和食」
テーブルから身を乗り出すように、レオが真剣な眼差しを送ってくる。
意外な反応に驚きながらも、優菜は頷く。
「いいけど…レオ外人さんでしょ? 果たして和食、美味しいって思うかなあ…」
「美味しいよ。優菜…俺、六才まで日本に住んでたんだ。
ドイツに住んでるとさ、たまにあの味が無性に恋しくなる時があるんだ」
レオはその当時を思い出したのか、懐かしそうに…
それでいて切なそうな表情を浮かべるーー。
その表情がひどく魅力的で、
瞬間、優菜の心臓がドクンと鳴った。
なんだろう。
惹きこまれそう……。
ハッと我に返る。
「いっ、いいよ。作ってあげる!…いえ、むしろ今朝の借りもあるし、今夜の夕飯できっちり返させていただくわ!」
気づけば優菜は力強く、コブシを握りしめていた。
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