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意外にも力強く言い切った和子。それに対し優菜は不思議そうに小首を傾げた。
「みっちゃんはわかるけど
…部長?
確かに頭はすごく良いけど、彼にそこまでの権限はないと思うよ」
「えっ!? そ…そうだよねっ。でも何か頼りがいありそーじゃない鹿野先輩」
なぜか顔を真っ赤にし、慌てて理由を口にする和子。
明らかに動揺してる…。
これってひょっとして。
友達の気持ちにふと気づいた優菜はニヤニヤと口元をゆるませた。
「そっか、和子もしかして部長のこと…」
「ち、違うの! あのこれは……鹿野先輩には言わないで…お願い…」
さっきよりも更に真っ赤になった顔に手を当て、涙目になって必死に懇願する和子。
なんか可愛い。
優菜はフフッと笑う。
「やだなぁ、私が言うわけないじゃない。でもいいね和子、好きな人ができたんだね。羨ましい」
「優菜はいないの? いいなあって思う人」
私はーー。
すると一瞬、フッと最近同居人になった彼の顔が頭に浮かんだ。
レオと接してると、たまにドキッとする事もあるけど…。
それはきっと、彼が格好良いから、ってのが一番の理由よね。
要は芸能人を見てるような感覚。
うん、そうに決まってる。
「…いないわ。残念ながら」
うんうんと心の中で頷くと、優菜は即座に答えを導き出した。
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