第一章 ~天災~

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「う…うそだろ!?」 目一杯前に進もうとするが、黒い球体の吸引力がそれをさせてくれない。 なんとか右足を踏み出そうと地面から足を浮かせた時だった。 強まってきた吸引力のせいで、体が一瞬フワッと後ろに飛ばされた。 「うわぁ!!」 俺は完全にバランスを崩し、地面に体全体でしがみついて、吸い込まれないように耐えた。 今立ち上がろうとすれば、たちまちあの球体に吸い込まれてしまうだろう。 俺は地面にへばりついたまま、身動きがとれなくなっていた。 「くそ……もうヤバいかも…」 そう思いかけた時。 頭の中に聞き覚えのない女性の声が響いてきた。 「偉大なる古の魔導師サクレツィアよ…」 さ…サクレツィア…? 誰だ?それは。 確かに俺の名前はサクレだが、サクレツィアというのは俺のことなんだろうか? いやいやそれよりも!まずこいつはどこから俺に話しかけてるんだ? 辺りを見回してもそれらしき人影はない。 不思議な出来事の連続に頭が混乱してくる。 「今、ソグムが崩壊の危機に瀕しています。あなたの力がソグムに必要なのです。 私たちの世界に再び、光を取り戻してほしい…」 ソグム? それはいったい何処のことだろう。 ソグムなんて国名は聞いたことがない。知らない場所だ。 あと、光を取り戻せ?再び? 全く理解できない。わからないことだらけ。 地べたにはいつくばって耐えながら、そんなことを考えていたら、急に自分の体がずるずると後方に引っ張られた。 はっと後ろを振り返ってみると、黒い球体の大きさは直径5メートルほどにまで大きくなっていた。 死を覚悟した俺は、頭の中の声に対して力一杯叫んだ。
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