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「まってくれ!おれはそのソグムなんて場所は知らないし、それを救うだけの力なんてないんだ!」
「いいえ…アナタはかつて、ソグムを光へ導いた大魔導師サクレツィアの生まれ変わり…」
「だからサクレツィアってだれなんだよッ!!」
いらいらして、頭の中の声に対してそう怒鳴ってしまう。
それに反応するように、背後の黒い球体が爆発し、黒い空間が周りの木々と俺を飲み込んだ。
そして吸引力がなくなって地面も飲み込まれ、俺の体はは真っ暗な空間を落下し始めた。
「うわぁぁぁ!」
周りはなにも見えない暗闇で、自分が何処を落下しているのか、後どれぐらいで落下が終わってじめんにげきとつするのかもわからない。
俺はパニックになって、体をばたばたさせた。
そして周りになにもないことがわかって、いつくるかもわからない地面におびえて、グッと目を閉じていた。
頭の中に再び声が響いた。
「この世界を…守って…。」
その声に俺はハッとする。
何度もあの夢の中で聞いた言葉、聞いた声。
いつもいつも夢はそこで終わるんだ。
その夢の中で俺が助けようとする女性が、いつも最後に残す言葉だった。
この人を、助けたい。
いつもそう思っていた。
ただの夢だ、なんて思い捨てながらも、心のどこかでそう願っていたんだ。
そう思ってゆっくり目を開けると、暗闇の先に一筋の光が見える。
その光はどんどん近くなり、俺はそこへ向かって落ちていく。
「助けたい…」
俺は小さな声で、そう口にしてみた。
するとそれに呼応するように、目の前の光が広がって黒い空間を塗り替えていく。
そして周りの景色は、果てのない大空に変わっていた。
したには分厚い雲があり、その上をまだ落下している俺。
遙か彼方まで見渡せる夕焼け色の大空に、キレイだな。なんて思ったのも束の間、ここでいよいよ一つの感情が俺を襲う。
…このまま落ちていって、地面に激突したら……
死ぬ…?
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