3944人が本棚に入れています
本棚に追加
「おい、どうしたんだよ?」
雪村はいきなり涙を流した私を見てびっくりした。
あまりにも自然に溢れた涙に私自身も驚いた。
「ううん、何でもないよ。ごめん驚かせて」
私は雪村に涙を拭きながら言った。
「泣いてるのに何もないわけないだろ?
噂、気にしてるんなら素直に違うって言わなくちゃ…なっ?」
そう言って雪村は優しく頭を撫でてくれた。
私は初対面の人の前で泣いてしまった。
みんなに気付かれないように声を殺して。
この人は初対面とか仲良いとか関係なく優しいんだと思う。
それに他の男子とは違って優しいだけじゃなく私の心に踏み込んできてくれた。
聞いて欲しかった…
信じて欲しかった…
本当の私を知って欲しかった…
「もう大丈夫、ありがと」
私は春菜に話かけて雪村から逃げた。
また変な噂をたたせたくなかったから…
最初のコメントを投稿しよう!