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「春野……さん?」
お兄さんは何かを思い出すような顔をして言った。
私が不思議そうに見ていると、お兄さんはそうかと言って優しく、とても優しく微笑んだ。
その顔は、どことなく秋風くんに似ている。
「あの……?」
私には、何がお兄さんの顔をそんなに嬉しそうに微笑ましたのかが分からなく、口に出して聞いた。
するとお兄さんは、「あ、ごめんね。」と言って話し始めてくれた。
その目には、優しさと少しの悲しさが混ざっているように感じられた。
私は、秋風くんと同じように眼鏡をかけていて、秋風さんと同じような髪形をしている彼のお兄さんをじっと見つめた。
「翔は、たまに俺に君のことを話してくれていたんだ。」
お兄さんはそう言って空を見上げた。
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