転校

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しかし、授業が始まるとそうも言ってはいられない。 「あの……、大神君。教科書見せてくれる? まだ、新しいの届いてなくて」 良は黙って、定規の先に教科書を引っ掛けてみことに差し出した。 「……ありがとう。でも大神君はどうするの?」 「大丈夫。教科書の内容なら、すべて覚えているから……」 「頭、いいんだ!」 目を丸くして感心する。 「記憶力があるだけだよ」 それに対して、そっけなく返す良。 そして彼が言ったことは本当だった。 教科書がなくても授業に全く困らなかったのだ。 見た目どおり、かなり勉強ができるようだ。
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