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ご主人が
財布の中を見つめる視線は
いつも真剣だ。
特に給料日前である
月末になると
特に真剣になるのだが、
そんなに睨んでも
お金は増えんぞ、ご主人よ。
僕は
自分家からご主人を見上げ、
そして網を駆け登り
ガチガチと噛んだ。
これは
僕の出たいアピール。
すると、
財布の中を睨んでいたご主人が
僕のほうを見て、
そして扉の鍵を外してくれた。
「ピッピ~。
今週も給料日まで
120円なんだけどさ~。」
いやいや、僕関係ないし、
と僕は家から出ると
お気に入りの箱の中に
すすすっと入ってゆく。
ちなみに、
ピッピとは僕のこと。
僕はこのご主人・キドユカコと一緒にここに住んでいる
同居鼠である。
え!?
鼠なのに、ピッピ?
とかいう在り来りな質問は
僕にはしないでくれ。
これにはながぁい理由があり
それを説明するのは
ご主人だって面倒臭がる。
「またもやし!?
またもやし生活の
始まりかな?」
げんなりしているご主人。
さて、これから五日間。
どうなるのやら…。
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