孤独な王女

16/19
前へ
/82ページ
次へ
ひびが入ったままのフロントガラス越しに、トラックの中から外を見る。 例の人影が近付くにつれて、徐々にどういう人物なのかがはっきりしてきた。 やってきたのは、女が二人。 一人は白に赤っぽい色で模様が入ったローブのような服装の女。 白人。ヨーロッパ系だろうか?どこか上品な顔だちをしている。 髪は茶髪。 もう一人は……何だろう? 17世紀ぐらいの兵隊のような格好をしている。 紺色の、すその長い軍服。灰色のズボン。そして黒っぽいブーツ。 なんだかどこかの近衛部隊みたいな格好だった。 同じく白人でヨーロッパ系の顔立ち。しかしこちらはなかなか鋭い顔つきだった。 亜麻色の髪が揺れている。 何なんだ彼女達は? 俺はどう対応すべきだ? そう考えている間にも、二人はどんどん近づいてくる。 パッと見ると、前を歩くローブの女性を、後ろの亜麻色の髪の女性が何とかして止めようとしているように見えた。 そのとき、ウィルはあるものに気付いた。 後ろの亜麻色の髪の女。 彼女の腕には、あるものが握られている。 銃。 彼女は銃をもっていた。 ここからではよく見えないが、フリントロック系またはボルトアクション式のライフ ルといった感じだ。 状況を簡単に表すと。 武装した正体不明の勢力がこちらに接近している。 そういうことになる。
/82ページ

最初のコメントを投稿しよう!

419人が本棚に入れています
本棚に追加