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クソッ。
どうするべきだ。俺は。
この状態で発砲すれば、銃を構えている方の女は確実にしとめられる。
しかし、一発で仕留めなければ、奴の銃弾も自分に当たる可能性がある。
急いで車から降りたため、まだボディーアーマーは補助席に置いてきてしまった。
弾丸を防ぐのは迷彩服とシャツだけ。
それに、まだローブの女が残っている。
もし彼女が武器をもっていた場合……。
……というか、ここはどこなんだ。
ここが、外国だった場合、俺は勝手に領内に侵入し、その国の国民に銃を向けていることになる。
事が発覚すれば外交問題に……
先に銃を向けたのは俺だ。
これで発砲までした場合、どこからどう見ても、明らかに自分が悪い。
アメリカ軍兵士が他国領土に侵入し、その国の国民を殺傷なんて事態は、絶対にあってはならない。
というか、すでに領土侵犯はしてしまっているが。
……ここは、投降すべきか?
いや、投降すべきだ。
あの女には英語が通じる。
彼女達と風景からして、ここは欧州っぽい。
何とか事情を説明して……
そう考えたウィルは、ゆっくりとM9A1自動拳銃を下ろそうとした。
その時。
急に、自分の目の前がゆらいだ。
視界が歪み、辺りがすこし暗くなる。
それと同時に、頭から急に血が退いていくような感覚に襲われる。
ちょうど立ちくらみがはげしくなったような感じだった。
その勢いで、ウィルは手から、M9A1自動拳銃を離してしまった。
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