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「ここは…天国か?」
わずかに目を開けたウィルはそう呟いた。
すると自分のちょうど真上あたりから、声が聞こえた。
「地獄だ。って言ったらどうします?」
「……礼拝とか真面目にしておくべきだったな。」
そんなことを、声の主に向かって、ウィルはいった。
目の前には、女がいた。
寝転がっていると思われるこちらの顔を、真上から覗き込んでいる。
寝起きということを除いても、まったくもって意味不明な状況だった。
しかも、その女を自分はどこかで見たことがある。
ウィルはそのままの体勢で考えた。
白いローブに
淡い茶色の髪
……そうだ。さっきの。
ウィルはすぐに、草原での出来事を思い出す。
そして、彼女がローブを着ていた茶髪の女だということに気付いた。
……何なのだろう?この状況は。
自分はどうやらベッドに横になっているらしかった。
部屋の中のようで、石と木で出来た内装が広がっている。
ベットの横の木枠の窓からは、夕日が差し込んでいた。
「………」
しばらく無言のまま、ウィルは状況を整理しようとする。
自分は、さっき草原で倒れた。彼女の目の前で。
しかし、今はベットの上だ。
ということは、自分をここまで運んでくれたのだろうか?
というか、ここはどこなのだろう……。
そんなことを考えていると、女はそのままの体勢で自分にむかってまた話しかけてきた。
「痛みませんか?傷。」
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