異なる世界

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どうしよう。 ここで、自分がアメリカ海兵隊の兵士だということを話してしまえば、自分で他国軍が国境侵犯したことを証明してしまう……。 でも、服装や部隊票、戦闘服の星条旗パッチ。 その辺りから自分がアメリカ軍だということは割れているだろう。 自分は兵站部隊の所属だ。 特殊部隊とかならともかく物資輸送のトラック運転手の新兵がたった一人きりで、越境しているということ自体おかしいと彼女は思うはずだ。 それに、自分が国名を聞いたこともないような国。ということは小国だろう。 欧州系のようだし、そこまで大きな問題になることも…… ひとまず、自分の身分を明かそう。 そして、俺に起こった出来事をすべて彼女に話す。 彼女は話が解りそうな感じがする。 まあ、いくら話がわかる人でも、自分が置かれている意味不明な状況を話して信じてもらえる可能性はゼロといっても良いが。 そんなことを考えながら、しばらく黙ってどうするべきか考えていた時だった。 ふと、部屋の隅の気のドアが開いた。 それと同時に、誰かが部屋に入ってきた。 乾いた足音がだんだん近づいてくる。 やがてそれは自分のベットの横で止った。 すると、こちらが誰なのか確認する前に、聞き覚えのある鋭い声が降ってきた。 「アメリカ海兵隊……だったか?とりあえず名前くらい名乗ったらどうだ?」 ああ、そうだった。 もうとっくに伝えてた。 草原で対峙したこの女に……。 そこには、あの草原で、自分に向かって銃を構えていた女兵士が立っていた。 亜麻色の長髪をなびかせて、 あのときのように鋭いまなざしで、こちらを見つめながら。
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