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本当に意図がわからない。
普通、アメリカを知らないなんてことがあり得るか?
ただの国民ならともかく、彼女は軍人のようだし、知らないなんてまずあり得ない。
それに、大西洋と太平洋を何か?とまで聞いてきた。
そんなことすら解らないなどあり得ない。
うーん……。
ウィルは少し考えた後、返答の内容を思いつき、いまだに無表情でこちらを睨みつけている女に、いった。
「じゃあ、セークレイン王国はどこにあるんですか?」
「ここだ。」
「……そうじゃなくて。具体的にどこに位置するんです?実は俺もこの国の位置がわからないみたいなんだ。」
「道に迷って越境してきたのか?まあいい。」
彼女はそういうと、大きく息を吸って、そのまま一気に話し始めた。
「ユーフラト大陸西部に位置し、北西にはグローク海、東はツバルト王国、南はハイス共和国に接している王国だ。」
「……ユーラシア大陸じゃなくて?というか、ここはヨーロッパじゃないのか?」
ウィルは困惑した。
今の彼女の説明に出てきた地名で、一度でも聞きおぼえがあるものですらなかったからだ。
ただの一つも。
いくらなんでもおかしい。
アメリカは知らない。初めて聞いた地名。
もしかして、本当にこの世ではないのか?
少なくとも、地球に関連すると思われる地名が、一度も出てこなかったような気がする。
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