異なる世界

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問題はもうひとつの方だ。 自分の腹部に空いた傷。 この時代を近世ヨーロッパ辺りと仮定して、どう治療したらこの傷をここまで回復させられる? ウィルは自分の意識がどれくらいの間とんでいたか確認するために、左腕の時計をみた。 日本製のデジタル時計の液晶には、今日の朝つまり、輸送任務が始まる前に確認したのと年月日時がすべて同じ。 時間だけが進み、1739と表示されていた。 17時39分。 戦闘に遭ったのは13時20分ごろ。 単純計算で4時間ほどしかたっていない。 そんな短期間であれだけの傷をここまで治療するのは絶対に無理だ。 例え、現代の医療技術を用いても。 ならばどうやって? その疑問を解決する方法を、ウィルはすぐに思いついた。 「あの、ちょっといいか?」 「ん?なんだ?」 すぐにアルティミスがそう返事をした。 「俺、腹に怪我をしてたと思うんだけど……。」 「光栄に思えよ。王女様が治療して下さった。」 「あ、ありがとうございます。」 ウィルはそれを聞くと同時に、アルティミスの隣で立っている王女に礼を言った。 なんで医療関係者ではなく、王女様が直々に治療してくれたのだろう? そんな疑問より、ずっと気になっている内容が先にウィルの口から飛び出した。
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