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「一度しか言わないわよ?」
化け物に取り憑かれた者は鬼憑きと呼ばれる。
多くの者は身体を乗っ取られるが、稀にそれらに打ち勝って理性を保つ者がいる。
退魔協会と言う組織はそういった者を名目上は保護し、鬼術士と戦う駒にするらしい。
因みに、鬼術士とは、化け物を召喚・使役するなどして悪しき力を振るう者の総称であるらしい。
「なる程、大体わかった」
「そう、なら邪魔しないで欲しいわね」
「それは出来ない相談だな」
「……何故?」
知らない女の子は、不思議そうに首を傾げた。
「もう、一度助けてるし」
「それで、貴方が死ぬとしても?」
「死ぬ気はさらさら無いけどな」
せっかくだから、非日常にどっぷりと嵌ってしまえばいいさ。
椎名直樹はそう完結した。
「なら、覚悟を見せてくれるかしら?」
「良いよ、俺は逃げないから」
知らない女の子の右手に光が収束する。
少しバチバチと弾けるその様子から、雷みたいな物だと推測する。
「受け止めてみなさい、手加減はしてあげるから」
そして、拳が突き出され、雷が放たれる。
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