①唐突な始まり

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椎名直樹の家は、それなりに大きな一軒家である。 共働きの両親はそれぞれ高い収入を得ており、仕事が休みの日には良く旅行に出掛ける。 だからいつの間にか、椎名直樹が家事全般を行う様になっていた。 椎名直樹は定期的にキチンと掃除をしていた自分を、心の中で褒めた。 でなければ、そう簡単に女の子何て呼べないだろう。 普通は如何なる理由でも抵抗がある気もするが……。 「ただいま」 誰も居なくとも、習慣なので言っておく。 言える事が大事なんだと誰かが言っていた。 「……お邪魔します」 スタスタ入って行く椎名直樹に続いて、私も彼の家に足を踏み入れる。 私をリビングのソファーに座らせると、椎名直樹は2つコップを出して飲み物を注いだ。 1つを私に差し出すと、もう1つを一気に飲み干した。 私もちびちびと喉を潤していく。 「今から夕飯作るけど、食べれる?」 「……うん」 「じゃあ、テレビでも見てちょっとまってて」 そう言って台所へと入っていく椎名直樹を、私はじっと見つめていた。
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