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「はぁ……」
私はお湯に浸かって、深く息を吐いた。
暖かさが、身体に染み込んでくるのを感じる。
疲れが身体の外へと染み出して、まるで全身がほどけていくようだった。
つまり、とてもリラックス。
と言うか、極楽。
私は、お湯に浸かりながら考える。
椎名直樹は良い人だ。
見ず知らずの私にここまでしてくれる。
椎名直樹は変な人だ。
普通の人なら引くなり怖がるなりするはずなのに、私の能力を見ても普通に接してくれた。
能力もあまり効かないし……。
最初は何か裏があるのかとも思ったけれど、見ていてわかった。
それは有り得ない。
椎名直樹は純粋なお人好しなんだ、きっと。
それなら、これ以上の迷惑はかけれない。
……私は、好意を返せないから。
頭からシャワーを浴びる。
温度はぬるめだが、温まった身体には丁度良い温度だった。
髪と身体を洗い、もう一度お湯に浸かる。
それでも、
今日だけは、
彼の好意に甘えさせて貰おう。
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