成り立ち

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暑さもおさまりつつある9月の終わり これ以上入院していても体重が減少していくばかりだと判断なさった主治医の先生が、退院の許可をくれた 退院したその日、父親と母親とはるかの3人で、叔父の経営する寿司屋へ食事しに行った後に京都の清水寺へお参りへ行った。 お坊さんに御払いをしてもらい、病気改善のお経を読んで頂いた。 趣味に合わず目を閉じてお祈りする父親、母親… でもはるかは違った… 「病気が治りますように」 でなく 「美しくなれますように…愛される人になりますように…もう恐怖に怯えることがありませんように…」 病気改善より先に、心の闇を取り除いてほしかった 父親と母親の思いを裏切る思いだったが、それでもこの恐怖から抜けだしたかった 一生必要とされず、価値のない意味のない人間になるのではないかというこの恐怖から逃れたかった…
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