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彼女がそういうと、景色が一瞬で変わる。
次にまばたきをしたら、そこは、男子寮の前。
「――――っ!アリッサ!遅いぞ!集合時間より大分遅れてるじゃないか!」
男子寮の前に立っていて、アリッサさんに怒鳴る少年。
彼は――――、啓介くん。遠見、啓介くん。
――――――私を、変えてくれた一番の人で、一番大切な人。
「なによ、きていきなり怒ることないじゃないっ!あたしだって遅れたくて遅れたんじゃないんだから!」
また、ケンカが始まった。仲がいいから行われる、ケンカ。私は、それを微笑んで見ていた。
「………ふふっ。もう、アリッサさん、ケンカしてたら、もっと学校に行くの遅れちゃうよ?啓介くんも。」
「だってケースケが!」
「だってアリッサが!」
二人の声が、重なる。
『あっ…………。』
数秒の沈黙。そして。
『はははははっ!』
アリッサさんと啓介くんは声を揃えて笑った。
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